2014年11月21日

特別区の年間20億円のコスト増という試算は、全体のごく一部しか計上していない

協定書とセットで示された長期財政推計(元データ 元サイト)では、大阪都構想で特別区になっても、各特別区も黒字になるとされています。

 この特別区が黒字という試算が成立するのは、「1兆3千億円部分を5つの特別区で分割して実施する」ことによる、毎年のコスト増は、年間20億円(元データ P61)だとしているからで、年間20億円程度なら、他の市政改革による経費節減で賄えるとしているのです。
(2014年7月にダウンロードした資料ではリンクの通り、ランニングコストは年間約20億円だったのですが、この記事のアップ時に確認すると、いつの間にか資料が更新され、「一時保護所運営費4億円が追加されて、約25億円になっていました。(元データ)この記事は、7月時資料に沿って説明を続けます)

 この20億円というコスト増の試算は、システム運用経費、ビル賃料、議員報酬類のみを試算対象にして算出しています。
 システム運用経費、ビル賃料、議員報酬類の3項目の現行支出額は、(パッケージ案の資料から読み取ったところでは)年間120億円です。支出の120億円部分が、5つの特別区に分割されると20億円増になるという試算ということです。

 でも、歳出のうち120億円部分というのでは、特別区の歳出1兆3千億円の1%部分に過ぎません。人員体制の試算(かなり無理な試算なので信用できません。)を人件費の試算と捉えても、概ね歳出全体の1割程度です。
 1兆3千億円の事務事業を5つの特別区で分割して実施するとしているのに、その支出の9割部分については、何の試算もせずに「増減無し」として、年間のコスト増は20億円だとするのです。
 粗い試算でも、それぞれの項目では数十%のコスト増になるという結果が出ているのに。
(詳しくは、参照:特別区になった時のランニングコスト試算は、全体の1%しかしていない

 大阪都構想のコスト増の多くは、大阪市の事務事業1兆3千億円部分を5つの特別区で分割することで発生します。
 現在の試算は、支出の大半について、何の試算もしないまま「増減なし」と決め付けて、特別区が赤字になることはないとします。

 でも実際にどれだけのコスト増が発生するのかは、何も把握されていないし、試算された項目をみる限り、巨額のコスト増のリスクは無視できません。
 何よりも、実際どんなコスト増が発生するのか全然分かっていないという点が、大阪市民にとって大きなリスクです。もし試算にないコスト増が、特別区への分割で発生したら、全て、身近な住民サービスの原資を削って特別区が負うのですから。
参照:特別区が担当する6173億円部分の事務事業は、6173億円の財源配分で賄えないと思う

元記事「橋下氏街頭演説 こういう大阪都構想の説明はいけないと思う・再び」より

(以下の以前の記事を参照ください。)
〇大阪都構想財政シミュレーション(その4) 家を建てるなら見積もりは取りたいよ
〇(補2)児童相談所と一時保護所にみるコスト試算の精度
〇大阪都構想財政シミュレーション(その3) 今のサービス維持に必要な職員数が知りたいのに

「システム運用経費、ビル賃料、議員報酬類」3項目がパッケージ案の年間55億円増から、長期財政推計で年間20億円増になったことについての評価は、次の記事を参照ください。
〇長期財政推計になって、変わったこと、変わらないこと(その2)


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posted by 結 at 02:49| 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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