2015年01月26日

4000億円も統合すれば、数百億円の府市統合効果くらい出せよと思う

 大阪都構想の統合効果は当初4000億円と報じられました。(正しくは、第1回府市統合本部会議で、統合による経費削減4000億円、経済成長による税収増4000億円の計8000億円を目指すというもの(元データ 元サイト))
 ただ、この4000億円の統合効果は、大阪府の全会計規模4兆円、大阪市の全会計規模4兆円の5%の経費削減を行うというもので、統合効果の算出としては出鱈目です。
 統合効果が財源として使えるためには、一般会計の歳出規模で見ないと意味がありませんし、統合と全く関係のない部門は除く必要があります。府市の事業統合を行っても、事業統合と無縁な区役所の住民票の窓口や、警察署の予算で「統合効果」が生まれるはずがないのです。

 パッケージ案で大阪市から広域行政の業務として、大阪府に移管するとしたのは、歳出規模で4000億円(元データ パ04-P6 元サイト)。(一部、府で行っていない業務もありますが、そこはざっくり無視して)府下人口の3割を占める大阪市に対して、大阪府の事業規模は概ね2倍とすると8000億円。合わせて1兆2千億円が統合対象事業の歳出規模と、非常に粗っぽいですが推計してみます。

 もし「二重行政の無駄」(大阪府と大阪市が類似の事業を重複して行っていて、非常に無駄な状態になっている)というのが正しいなら、理論値としては大阪市の4000億円の歳出が丸ごと不要になるはずですが、理論値通りにゼロになるというのは無理でしょう。
 それでも「二重行政の無駄」が正しいなら、一般的な類似事業統合の経費削減の期待値(わたしは、類似事業だけを取り出すなら、5%〜10%程度の経費削減を想定します。)より、ずっと高いはずですから、2〜3割、2000億円〜3000億円の経費削減は期待して良いのでは?と思います。
 2000億円の歳出削減として、財源となる一般財源規模は概ね半分です。ただ、「二重行政の無駄の解消」=「行政効果を維持したままの経費削減」であれば、歳出削減割合より、特定財源の削減割合は小さいと期待できます。つまり、2000億円の歳出削減で、使えるようになる財源額は1000億円と2000億円の間、ざっくりと1500億円程度は期待できるはずです。

 もし「二重行政の無駄」が出鱈目だったとしても、大阪府と大阪市の類似事業を統合するなら、一定の統合効果は期待できます。摂津市と守口市の間で二重行政などあるはずもありませんが、「摂津市と守口市の事務事業は大半が類似事業ですから、合併すれば経費削減効果が期待できる」というのと同じ意味です。
 「二重行政の無駄」とかでない、類似事業の統合による経費削減を1割程度とするなら、1000億円の歳出削減。歳出削減割合より、特定財源の削減割合は小さいと期待すると財源効果額は500億円と1000億円の間、ざっくりと750億円程度は期待できるはず。
 経費削減を小さく見込んで5%程度としても、500億円の歳出削減。歳出削減割合より、特定財源の削減割合は小さいと期待すると財源効果額は250億円と500億円の間、ざっくりと400億円弱は期待できるはず。

 パッケージ案の発表当時、統合効果は876億円〜976億円(一般財源で815億円〜915億円)とされましたが、数字の誤りや既に実施済みの市政改革効果額による上げ底などで膨らんだ数字で、今後実際に発生する財源額は、(地下鉄民営化など、大阪都構想と関係の無い項目による改革効果を含めても)5区分離案で362億円に過ぎない財政シミュレーションは示しています。(以前の記事「大阪都構想財政シミュレーションを見てみた(その1)」参照)
 ここから、地下鉄民営化などの大阪都構想と関係のない効果額と大阪市を特別区に再編する効果額(区の数が減るとして、老人福祉センターや子育て活動支援拠点、スポーツセンターなどを削減できるとして、効果額が計上されています)を除くと、大阪府・大阪市の統合効果は実は31億円しか計上されていません。(以前の記事「(補1)大阪都構想の統合効果が悲し過ぎる」参照)

 「二重行政の無駄」など無いにしても、大阪市の4000億円の事業を、(仮の推計ですが)大阪府の8000億円の類似事業と統合したことによる経費削減(=統合効果)として、31億円の効果というのは小さ過ぎます。
 統合効果創出の点から見てパッケージ案は、完全に失敗プランなのです。

 統合効果失敗の分析は、以前の記事「(補1)大阪都構想の統合効果が悲し過ぎる」で行っていますが、最大の原因は、(細かな点を除き)大阪市の広域事業として移管する4000億円について、大阪府の対応事業と統合後に必要となる予算額を試算することなく、単純に「大阪府の現在の歳出額+4000億円」で計上していることです。
 ふざけています。これで、まともな統合効果が出てきたら、その方が不思議です。

 府市統合の統合効果創出の失敗は、大阪都構想への期待感を萎ませる意味もあります。
 でもそれ以上に、パッケージ案の協議を進める中では、「強い大阪の広域行政体」を作るためにも、分割後特別区の住民サービス維持のためにも、追加投入できる財源が非常に乏しいことを意味していて、かなり協議の足を引っ張る原因となりました。

(追記)大阪都構想は、大阪市の1兆7千億円の歳出額のうち、4千億円部分を大阪府に統合し、1兆3千億円部分を5つの特別区で分割して実施するプランです。4千億円部分の府市統合が統合効果を生み出したとして、1兆3千億円部分の5分割によるコストアップの方が、普通は大きいはずです。
 大阪都構想で、特別区が大赤字にならない試算が示されているのは、1兆3千億円部分の大半について、試算せずに「増減なし(=コストアップは発生しない)」として、財政見通しを行っていることが、大きな要因と思います。


元記事「大阪都構想は何を間違えたのか?(その2)パッケージプラン」より

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posted by 結 at 03:57| 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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