2015年01月26日

大阪市の本庁機能の分割を考える

 大阪都構想で、ずっと疑問に思っていることがあります。
 一体で運営される大阪市役所を分割して、5つの特別区の区役所(=市役所のようなもの)を作るというのですが、市役所の本庁機能を分割して、5つの特別区の区役所へ移管し、それぞれの特別区の区役所が、しっかり機能するようにしようとすると、結構やっかいです。
 どういった難しさがあるのか、整理してみます。

 大阪府議会の大都市制度検討協議会で2011年8月に整理された大阪市役所の組織は次のようなものです。(元データ 元サイト
01大阪市の職員数の状況_02.jpg

 上の組織図をイメージにすると次のようになります。
02職員状況イメージ図.jpg

 組織図からは、大阪府へ移行される広域行政部門の職員数や一部事務組合へ移行の職員数は分からないため、パッケージ案の職員の移管先(元データ 元サイト)の移管事務から、本庁機能に関係しそうなものをピックアップしました。

 市役所・本庁機能5000人のうち、大阪府や一部事務組合への移行約1000人を除く、概ね4000人が、5つの特別区へ分割して移行することになります。
 特別区への移行直後は、全体では概ね現在の職員数でスタートするとしていますので、大雑把に言うと、市役所・本庁機能のうち4000人を、800人ずつ特別区へ配置して、市役所・本庁機能の業務をそれぞれの特別区で行うことになります。

 この4000人のうち、区役所関係1000人について考えてみましょう。
 どういう業務があるのか、一例を挙げてみます。(当然現実の仕事は、業務により千差万別でしょうし、もっと様々な仕事があるでしょうけれど、少しでも具体的にイメージするための例と思ってください。)
(区役所で行っている事務を、サポートする仕事として)
(1)条例の作成、整備
(2)事務マニュアルや事務計画の作成、整備(業務の進め方の企画・管理)
(3)パンフレット、チラシ、申請書、台帳などの原稿作成、印刷
(4)業務委託の契約、物品の発注
(5)広報
(6)研修
(7)システムの運用・システム修正(の委託)
などなど

 こういった仕事を、ひとつの事務について1係5〜15人程度で行っているとイメージしてみてください。
 1係5人なら、(1)〜(7)をひとつずつ担当してたのでは人数が足りません。誰かが急に欠けた時を考えると、副担当も置きたいです。そうすると、担当・副担当合わせて(1)〜(7)のうち3つ程度を担当って、なりそうです。
 1係15人なら、(1)〜(7)をそれぞれ2人程度で担当できそうです。
 つまり、それぞれの担当内容について、熟知している担当者の数は、それほど多くはないのです。

 この区役所関係1000人の業務の特徴(本庁機能の特徴でもある。)は、基本的には「区役所毎にバラバラに行うよりも、全部の区役所の分をまとめて行う方が効率的・効果的な仕事」ということです。逆に言うと、特別区単位で全く同じ内容・水準で行おうとすると、特別区ごとに(200人よりは、ずっと)1000人に近い職員数が必要になってしまいます。

 これらのことから、市役所・本庁機能の特別区への移転(市役所・本庁機能の4000人を、特別区に800人ずつ移転して、これまで担ってきた機能を、特別区ごとに提供)には、次のような問題が出てきます。

(1)市役所・本庁機能の4000人を、特別区に800人ずつ移転して、特別区単位で全く同じ内容・水準で機能提供するのは、無理です。でも、特別区が機能するためには、市役所・本庁機能が担ってきた内容を、特別区ごとに提供される必要があります。この点についての、具体的な解決策は示されていません。

(2) (1)の問題について、どんな解決策を採るにしても、特別区単位で全く同じ内容・水準で機能提供するのは、無理です。そんな方法があるなら、市役所の4000人を800人に削減しているからです。
(橋下市長は、最初の市長選挙の当時、都構想を待たずに市役所・本庁の職員を大幅削減して、区役所の職員を大幅に増やすと主張していましたが、勿論、そんなことはできませんでした。)
 どんな解決策を採るにしても、行政水準の低下が考えられ、それは市民にとって、デメリットです。だから、どんな解決策を採るのか、市民は知っておく必要があります。

(3)市役所・本庁機能が担ってきた内容を、特別区ごとに提供するためには、業務量の問題を別に置いても、すべての業務のそれぞれの担当について、ちゃんと仕事ができる職員が5人ずつ必要です。3人しか知らない業務があると、2区では仕事が回らなくなるからです。この点についても、具体的な解決策は示されていません。

 (3)の問題を無視して組織分割を進めると、4000人の専門家集団を、5つの素人集団にしてしまうことになります。
 また、(3)を解決する一つの方法は「(4000人それぞれが)2年で5人分の仕事を勉強してくれ」なのですが、市役所・本庁機能を担う4000人の多くは、その2年間、都構想実現の移行作業に忙殺されるのです。

 この問題の一番困った点は、特別区を機能させようとすると大切な点で、解決は容易でないと思われるのに、特別区設置協議会(=法定協)での検討資料をみる限り、何も検討されていないことです。


元記事「大阪市の本庁機能の分割を考える」ですが、大幅に改稿しました。

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posted by 結 at 20:48| 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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