2015年01月27日

大阪市一体の事務を5つに分割して実施すると、所要人員が減るという試算の背景

 大阪都構想パッケージ案は、大阪市の基礎自治体業務を5つの特別区に分割することで、職員数を平成25年度の12866人から10916人へと1950人削減し、91億円の効果額を上げるとしています。(元データ12/6シ-P61 元サイト
01職員体制再編イメージ.jpg

 わたしは、一体で行ってきた事務を、複数に分割して実施すると、普通は必要な職員数は増えると思っています。
 なので、大阪市一体で行ってきた事務を、5つの特別区で分割して行うようにすると必要な職員数が15%減るという試算が、なぜ成り立つのか気になります。

 パッケージ案「2職員体制」の特別区の職員数の求め方(元データ 02-P12 元サイト)を、思いっきりシンプルに言うと、中核市の例として、豊中市、高槻市、東大阪市、尼崎市、西宮市の5市を挙げ、人口10万人当りの5市の平均職員数を特別区の人口に掛けて、各特別区の職員数を算出するというものです。
 中核市権限外の法定事務や大阪市の実情を踏まえるとして「児童相談所」「教育委員会事務局」「保健所・保健センター」「生活保護」の補正を加えています。

 だから簡単にいうと、豊中市、高槻市、東大阪市、尼崎市、西宮市5市の平均の職員数を、特別区に配置するということです。そうすると、職員数を15%削減できるのだそうです。

 ただ、この試算方法に疑問を思うのは、結局、特別区が担当する業務を、この試算の職員体制で、(質的・量的に同等に)実施できるのか、全く試算も検討もしていないのです。

 特別区が担当する業務で必要となる業務量と、5市平均の業務量で差異が出てくる出てくるポイントは2つです。
〇(法定外の)その市独自の住民サービスなどの業務量が同量か。
 例えば、橋下市長は塾代助成事業を始めましたが、当然、法定外の独自事業で、中核市5市は行っていないでしょう。でも、このための事務量は作業項目を列挙すると、馬鹿にできない事務量と分かります。
 このような法定外の住民サービスの業務量を、実際の比較もせず、同量と決め付けてしまうのは、無茶な話です。

〇法定の住民サービスの中でも個々の事務に「合理的な理由に基づく差異」はないか。ということがあります。
 例えば、「子ども手当のようなものを念頭として、対象者に申請を呼び掛ける事務」を考えても、「広報紙や掲示板で、対象者に申請を呼びかける」という事務と、「広報紙等に加えて、対象者に申請を呼びかける書類を送り、その送付時に必要事項をプリントした申請書を同封し、受け取った対象者はプリント済み申請書を確認して、記名・押印、送付すれば申請完了」という事務は、住民にとってみれば全く別物です。
 同じ法定の住民サービスでも、どれだけ住民のために丁寧なサービスを行うかで、業務量には当然差異が出てきます。このような差を、実際の比較もせず、同量と決め付けてしまうのは、無茶な話です。

 せめて1区分でも、試算に基づく職員配置で、無理なく「特別区が担当する全ての業務」を実施することができると示せば良いのですが、試算に基づく職員配置で、特別区がきちんと(現在と同等の)事務を行えるかといった検証は、一切見当たりません。

 普通に考えると「一体で行ってきた事務を、複数に分割して実施すると必要な職員数は増える」と思うだけに、5市平均の試算値は15%減になったから、何の裏も取らずに「特別区の所要職員数は現在より15%減」というのは、信用ができません。
 この15%減がゼロなだけで、吹き飛ぶ約100億円の効果額は、特別区の財政に重大な影響を与える数字ですし、普通に行うと所要職員数が現在より激増してしまう「市役所・本庁機能の特別区への移転」を、どのように対応するかみたいな肝心なことが、まだ何の検討もされていないのですから。
参照:大阪市の本庁機能の分割を考える


元記事「大阪都構想財政シミュレーション(その3) 今のサービス維持に必要な職員数が知りたいのに」より

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posted by 結 at 01:01| 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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