2015年01月27日

特別区になった時のランニングコスト試算は、全体の1%しかしていない

 パッケージ案(2013年12月6日資料)での、5つの特別区の分割した時のランニングコストの試算は、次のものです。(元データ12/6追-P45、元サイト
財シミュ再編コスト(パ).jpg

 システム運営経費約20億円には、府システム増加分3億円を含むため、これを除外すると次になります。
〇システム運営経費 15億円
〇民間ビル賃料 22億円
〇各特別区に新たに必要となる経費 18億円
合計約55億円

 この55億円ですが、増加率はどの程度でしょうか?
〇システム運営経費 82億円→97億円(元データ 12/6追-P43)18%増
〇ビル賃料 20億円→42億円(元データ 07-P15 元サイト)110%増
(執務面積比較では、現有186,609uに対して不足70,757u)(元データ 07-P13)38%増

(「各特別区に新たに必要となる経費」の内訳は議員報酬と各種行政委員会委員報酬のことなので)(元データ 07-P08)
〇議員報酬 17億8900万円→34億8100万円 95%増
〇各種行政委員会委員報酬 0円(記載なしなので)→6000万円

 これらを合計して考えると、(執務面積をビル賃料だけで考えたり、各種行政委員会委員報酬の現行を0円で置いたり)少し乱暴ですが、
現行支出額120億円→特別区分割後175億円(55億円増 46%増)
になっていることが分かります。

項目単位では
システム運営費 18%増
事務所面積   38%増
議員報酬    95%増
・・・といった感じです。

他に、児童相談所一時保護所を現行の2所から5所(特別区毎)にした時の試算が示されていて(参照:(補2)児童相談所と一時保護所にみるコスト試算の精度
職員(非常勤含む)89%増
コスト      70%増
・・・になるそうです。

(以下、厳密には一般財源額ベースと思いますが、ビル賃料やシステム運営費で、支払額=歳出額と一般財源額を特に区分していないと思うので、コスト増減の発生の元になる歳出額ベースで話をします。)

 この試算を元に、特別区のランニングコストは55億円増、つまり、特別区の歳出額合計1兆3000億円が、1兆3055億円(0.4%増)になるというのです。

 でも、変じゃありませんか?
 試算した3項目はシステム運営費18%増、事務所面積38%増、議員報酬95%増なのに、なぜ全体では、0.4%増なのでしょう?

 試算した3項目の現行支出額120億円→特別区分割後175億円(55億円増 46%増)です。
 特別区の歳出額合計1兆3000億円に占める、試算した3項目の120億円は約1%です。残り99%を試算せずに「増減なし」としてるため、3項目の平均46%増が、全体では0.4%増となるのです。
 でも、歳出額の大半を試算せずに「増減なし」とした結果って、ランニングコストの試算をしたと言えるのでしょうか?

 ランニングコストの試算として示されてるのは、この表が全てです。
財シミュ再編コスト(パ).jpg

 それでも無理に、職員数の試算が人件費の試算になっていると考えると、H25職員数12866人×800万円=1030億円に対して、コスト試算を行ったことになります。
 1兆3千億円に対して、1030億円は約8%。試算では約15%減となっていますが、この試算結果については、信用に足りるものと評価しません。
参照:大阪市一体の事務を5つに分割して実施すると、所要人員が減るという試算の背景

 1兆3千億円の事務事業を5つの特別区で分割して実施するとしているのに、ランニングコスト計算では支出の99%部分を試算せず、人件費を試算したことにしても支出の9割部分について、何の試算もせずに「増減無し」とした結果が55億円のコスト増で、「黒字だぞ!」と誇らしく語る財政シミュレーションも、この何の試算もせずの「増減無し」の上に成り立っています。

 大阪都構想の統合効果が、大阪市の広域部分4千億円の大阪府への統合で生まれるのなら、大阪都構想のコスト増の多くは、大阪市の事務事業1兆3千億円部分を5つの特別区で分割することで発生します。
 5つの特別区へ分割するとして試算された項目は、いずれも数十%で動いています。

 特別区歳出額1兆3千億円の大半の部分について、「大阪市の基礎自治体事務を5つの特別区に分割した後の運営経費」の試算をしておらず、実際どんなコスト増が発生するのか全然分かっていないという点は、大阪市民にとって大きなリスクです。
 もし試算にないコスト増が、特別区への分割で発生したら、全て、身近な住民サービスの原資を削って特別区が負うのですから。
参照:特別区が担当する6173億円部分の事務事業は、6173億円の財源配分で賄えないと思う

 歳出額1兆3千億円を5つの特別区で分割して実施するという、巨大な変更な変更なのに、まともなコスト試算も示さず、市民に何を判断しろというのでしょうか?

(補足)
 協定書時点の長期財政推計では、ランニングコストの試算は次のように変わりました。(元データ 元サイト
再編コスト比較.jpg

 ただ、主な変更点の民間ビル賃料の22億円増加→14億円減少は、不足分庁舎を賃貸でなく新築に切り替え、庁舎の建築費がランニングコストに計上されない(イニシャルコストへ計上)ためで、実際の負担はあまり変わらないのに、分かり難いだけと捉えました。
参考:特別区の不足分庁舎の新築は、ランニングコストの減なのか?

 議員経費の18億円増加→2億円減少は、特別区の区議数を、パッケージ案の243人から現在の大阪市議と同じ86人にした結果で、特別区分割に伴うノーマルなコスト変化ではないと捉えました。
参考:特別区の区議数を、現在の大阪市議と同じ86人にしたのは妥当か?

 このため、コスト変化を捉えるには、パッケージ案時点のランニングコストの方が参考になると考えます。

 また、一番のポイントの特別区の歳出額の大半について、コスト試算せず「増減無し」としているということについては、パッケージ案時点も、協定書時点も同じです。


元記事「大阪都構想財政シミュレーション(その4) 家を建てるなら見積もりは取りたいよ」より

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posted by 結 at 06:08| 記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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